Mr.Children「Starting Over」の歌詞考察 自分の弱い内面・モンスターと向き合う覚悟

Mr.Children

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「Starting Over」は2015年6月4日に発売した18番目のアルバム「REFLECTION」に収録されており、映画「バケモノの子」の主題歌にもなった曲です。

この曲は、シングルとしてリリースされていないものの、アルバム「RIFLECTION」を発売した後にスタートした「Mr.Children Stadium Tour 2015 未完」では最後の最後に演奏されていたりするなど、Mr.Childrenとしてもかなり思い入れのある曲だと思います。

Starting Overの歌詞はこちら

「Starting Over」ができるまでの背景

デビュー当初からMr.Childrenのプロデューサーを務め編曲を担当していた小林武史さんがいない、初のセルフプロデュースとして制作を始めた時に出来た曲です。

もともと映画化もされたドラマ「信長協奏曲」の主題歌のオファーを受けて楽曲制作をしていたものの、楽曲制作が難航。

なかなか楽曲制作が進まない中で、ふと桜井さんがギターで弾いたメロディーが思ったより良かったため、もともと制作していた曲をボツにし新たな曲が誕生しました。

オファーを受けていた「信長協奏曲」の主題歌は、この時に出来た「足音∼Be strong」になったのですが、もともと制作していた「Starting Over」の素となる曲をそのままボツにするのはさすがに勿体ないということで再制作されたことで、「Starting Over」が出来上がりました。

「バケモノの子」は、「REFLECTION」のアルバムにも入っている「幻聴」という曲が有力候補としてあがっていたそうですが、メンバーの強い推薦もあり「Starting Over」が映画「バケモノの子」の主題歌に起用されたそうです。

「Starting Over」の歌詞考察

1番:自分の弱い内面・モンスターと向き合うことの難しさ

肥大したモンスターの頭を
隠し持った散弾銃で仕留める
今度こそ 躊躇などせずに
その引き金を引きたい

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

歌い出しの部分です。

ここで出てくる”モンスター”というのは自分自身の弱い内面の事を指していると考えています。

また、その内面というのは様々な悩みや不安、葛藤で構成されています。

何か新しい挑戦をしようとするたびに、不安や葛藤といった自分の弱い内面に打ち勝ちたいけど、なかなか一歩踏み込めない主人公が、様々な思いを抱えながらも今度こそは自分の内面にいるモンスターに勝つんだという想いが読み取れます。

あいつの正体は虚栄心? 失敗を恐れる恐怖心?
持ち上げられ 浮き足立って 膨れ上がった自尊心?
さぁ 乱れた呼吸を整え
指先に意識を集めていく

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

ここで述べられている”あいつ”というのはさっき出てきた”モンスター”、つまり自分自身の弱い内面のことです。

自分の内面に潜んでいるモンスターの正体は”虚栄心”なのか、”恐怖心”なのか、”自尊心”なのか、はたまた別のものなのか。

モヤモヤを抱える自分自身の弱い内面と戦っている様子が読み取れます。

ちなみにそれぞれの語句の意味は以下の通りです。

  • 虚栄心:うわべだけを飾ろうとする心。自分を実質以上によく見せようとする心
  • 恐怖心:怖いと思う気持ち
  • 自尊心:自分の人格を大切にする気持ち。また、自分の思想や言動などに自信を持ち、他からの干渉を排除する態度

僕だけが行ける世界で銃声が轟く
眩い 儚い 閃光が駆けていった
「何かが終わり また何かが始まるんだ」
そう きっとその光は僕にそう叫んでる

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

1番のサビの部分です。

ここで主人公は、自分自身の弱い内面・モンスターに向けて引き金を引いたようです。

引き金を引いたということは、自分自身の弱い内面・モンスターと対峙し、前に進むことを決意していることになります。

そして前に進むと決断した以上は、後戻りすることはできない。

「何かが終わり、また何かが始まるんだ」としているように、引いた引き金を取り戻すことはできない、色んな不安や葛藤はあるけど自分が選んだ選択肢は絶対に自分が正解にするんだという決心が読み取れます。

2番:弱い自分の内面・モンスターと向き合っていく覚悟

追い詰めたモンスターの目の奥に
孤独と純粋さを見付ける
捨てられた子猫みたいに
身体を丸め怯えてる
あぁ このままロープで繋いで
飼い慣らしてくことが出来たなら

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

ここから2番の歌詞です。

自分自身の弱い内面に打ち勝とうとし、自分の内面に向き合うことで、自分自身は孤独でもあり純粋でもある事に気づきます。

モンスターを追い詰めたという事は、あと一歩のところでモンスターという自分の内面に打ち勝つことができるという状態まで来ていることが分かります。

しかし、このモンスターである自分の弱い内面はいつかまた暴れ出し、前に進もうとする自分の意思を妨げる可能性だって十分にあります。

モンスターを追い詰めている今のように、自分の弱い内面を常に自分の意志で飼いならすことが出来たらいいのにと思う主人公の様子が分かります。

いくつもの選択肢と可能性に囲まれ
探してた 望んでた ものがぼやけていく
「何かが生まれ また何かが死んでいくんだ」
そう きっとそこからは逃げられはしないだろう

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

人生には様々な選択肢があります。

その様々な選択肢の中で、多くの悩みや不安、周りの誘惑によって、自分自身が望んでいた理想の状態が遠のいていく様に感じることだって多くあると思います。

新しい選択肢を選ぶという事は、他の選択肢を潰すことでもあり、その宿命からは逃げられないけど、自分自身はブレずに自分のモンスターである弱い内面とそれでも対峙していくんだという決意が理解できます。

穏やか過ぎる夕暮れ
真夜中の静寂
またモンスターが暴れだす
僕はそっと息を殺し
弾倉に弾を込める
この静かな殺気を感づかれちまわぬように

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

大きな出来事がおきる前に感じられ、不気味なくらい静かな様子という意味でつかわれる、嵐の前の静けさという言葉がある通り、自分の中では上手くいっていると思っている中で、自分自身の弱い内面・モンスターが再び暴れだしている様子が描かれています。

しかし、そんなモンスターに対して冷静に立ち向かっていく様子が描かれており、不安や葛藤の中でも決してブレずに前だけを向いて進んでいくんだという成長した主人公の強い決心が読み取れます。

今日も 僕だけが行ける世界で銃声が轟く
眩い 儚い 閃光が駆けていった
「何かが終わり また何かが始まるんだ」
こうしてずっと この世界は廻ってる
「何かが終わり また何かが始まるんだ」
きっと きっと

<出展>Starting Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿

自分の人生で挑戦し続ける中で、様々な選択肢に迷い、不安を抱えることは多くあると思います。

しかし、そんな迷いや不安も受け入れ、その度に忍ばせている散弾銃の引き金を引く。

人生において、新たな選択をするたびに、自分の内面に湧き上がってくる弱い内面・モンスターと対峙し続ける事に対する主人公の覚悟が見えます。

まとめ

Starting Overという英語は、日本語では”やり直す”という意味だそうです。

人生において様々な挑戦・選択をするたびに、自分の弱い内面が浮かび上がってきて、その都度不安な思いを抱いたり、恐怖心を抱くけれど、そんな弱い自分の内面ともしっかり向き合って生きていこうというメッセージが込められているんじゃないかなと思っています。

また、歌詞考察ではないのですが、筆者的にはイントロのギターがかなり好きなので、そういったところにも着目しながら聞いてみて下さい。

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