Mr.Children「HERO」の歌詞に込められた意味を考察!語られる理想のヒーロー像とは?

Mr.Children

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HEROは2002年12月11日に発売されたMr.Childrenの24番目のシングルです。

2004年4月7日に発売した11番目のアルバム「シフクノオト」にも収録されています。

また、ワンピース公式とのコラボでマンガ109刊とのコラボビデオの曲としても使用されています。
(めちゃくちゃ感動的なのでぜひ)

HEROの歌詞はこちら

「HERO」ができるまでの背景

HEROは桜井さんが小脳梗塞から復帰した後に発売された曲です。
ただ、歌詞を書いたのは病気休養前だそうです。

2001年に起きたアメリカの同時多発テロの際に、アメリカ独特のヒロイズムに疑問を持った桜井さんが「子どもを公園で遊ばせているお父さんやお母さんの方が、その子にとってのヒーローなんじゃないか?」と感じたことから生まれた曲であると雑誌で述べられています。

実際に歌詞に着目すると、理想のヒーロー像とは何かについて言及されています。

また、ミュージックビデオも非常に感動的で多くのファンに支持されています。
それでは早速、歌詞考察を始めていきます。

「HERO」の歌詞考察

1番:ヒーローに憧れる弱い主人公。理想のヒーロー像とは?

例えば誰か一人の命と
引き換えに世界を救えるとして
僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ
愛すべきたくさんの人たちが
僕を臆病者に変えてしまったんだ

<出展>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿

HEROの歌詞では、理想とする強くてかっこいいヒーロー像とはほど遠く、弱い主人公の視点から始まります。

友人や恋人、家族といった愛すべき人たちが自分の周りに増えれば増えるほど、そういった大切な存在を失いたくないと徐々に臆病者に変わっていく様子を指しています。

小さい頃に身振り手振りを
真似てみせた憧れになろうだなんて
大それた気持ちはない
でもヒーローになりたい
ただ一人 君にとっての
つまずいたり 転んだりするようなら
そっと手を差し伸べるよ

<出展>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿

ヒーローといえば、1人で大勢の敵を倒したり、たった一人の存在でその場の局面を変えてしまうようなみんなの憧れ的な存在であり強いヒーローの事が思いつくと思います。
ヒロアカのでいうオールマイト的な存在ですね。

子どもの頃はそんな憧れの存在としてのヒーローに憧れてたけど、今の自分はそこまで大それた憧れの気持ちはないとしています。
ただ、そんな世界を救えるようなヒーローではなくても、たった一人君の事を守れるヒーローになりたい。
たった一人の愛する君がつまずいたり転んだりする時には、手を差し伸べるような身近で安心して頼れるヒーローでいたいという思いが伝わります。

この曲で一番伝えたいメッセージは、理想のヒーロー像についての話であり、子供の頃に思い描いていたみんなが憧れるようなヒーローでありたいという想いは無いけど、たった一人愛する君を守れるヒーローでありたいという強い想いは持っているという事だと思います。
そしてここではまだ、そんな自分が理想とするヒーローにはなりきれていません。

2番:たった1人愛する人のためのヒーローでありたい

駄目な映画を盛り上げるために
簡単に命が捨てられていく
違う 僕らが見ていたいのは
希望に満ちた光だ
僕の手を握る少し小さな手
すっと胸の淀みを溶かしていくんだ

<出展>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿

映画の中では、敵が味方をやっつけたり、その敵をヒーローがやっつけるといったヒーローと敵の対立構造が描かれる場面が多いと思います。

その中で、敵味方関係なく多くの命が奪われていくと思います。

果たしてヒーローとはなんなのか?

主人公は、そんな大勢の敵をやっつけるようなヒーローではなく、たった一人のために手を差し伸べることができるような存在こそがヒーローではないのかとしており、希望に満ちた光を見ていたいとしています。

人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる
君の側に僕は居たい

<出展>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿

桜井さんは2番の歌詞に一番伝えたいメッセージを入れていることが多く、HEROに関しても2番の歌詞は多くのファンから支持されています。

ここでは人生を料理に例えています。

フルコースの料理には、それ単体では美味しいとは感じることのできないような調味料・スパイスが食材の美味しさを引き立てるのに重要な役割を果たしていると思います。

同じように、人生において辛い経験や困難に直面することが、よりその人の人生を豊かにし、人間としての魅力を上げてくれる。
そうして最後に味わうデザートのように、最終的には大きな幸せが待っている。

自分が愛した人と一緒に最後のデザート(困難を超えた先の大きな幸せ)を味わいたいとしており、どんな困難があっても主人公が愛する人に寄り添っていくという覚悟が現れています。

残酷に過ぎる時間の中で
きっと十分に僕も大人になったんだ
悲しくはない 切なさもない
ただこうして繰り返されてきたことが
そうこうして繰り返していくことが
嬉しい 愛しい

<出展>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿

長い年月を愛する人と共に過ごしていく中で、色んな辛い経験や困難があるけど、それでも君と一緒に過ごす時間が繰り返されていくことに嬉しさを感じている気持ちの方が強い。

ずっと愛する人に寄り添い続けていくことへの喜びが理解できます。

ずっとヒーローでありたい
ただ一人 君にとっての
ちっとも謎めいてないし
今更もう秘密はない
でもヒーローになりたい
ただ一人 君にとっての
つまずいたり 転んだりするようなら
そっと手を差し伸べるよ

<出展>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿

1番の歌詞では、多くの敵をやっつけたり、1人の存在がその場の局面を変えてしまうようなみんなの憧れとするかっこいいヒーロー像に対して、そんなカッコいいヒーローになれない弱い主人公の事が描かれていたかと思います。

しかし、そんな大それたヒーローではなく、自分が愛する人にとってただ一人のヒーローでありたいんだという主人公の心境の変化が読み取れます。

まとめ

HEROでは、理想のヒーローとは何かというのが曲全体を通して語られていました。

ヒーローというのは、多くの敵をやっつけたり、1人の存在がその場の局面を変えてしまうような皆が憧れるヒーローの事をイメージする事が多いと思います。

しかし、自分が愛する人が辛い思いをしていたり、つまづいた時に、そっと手を差し伸べてあげる事ができれば、それは自分が愛する人にとってのヒーローである。

曲が進むにつれて、皆が憧れるようなカッコいいヒーローにはなれないけれど、たったひとり君のことを守れる存在でいたいという思いが徐々に確信に変わっていく様子が描かれています。

桜井さんはこの様子を歌詞だけでなく歌い方でも表現しており、1番2番はファルセット(裏声)で歌っているものの、最後のサビは力強い地声で歌っていて、自分は愛する人にとってたった一人のヒーローであり、その愛する人を絶対に守るんだという強い決心が読み取れます。

自分が愛する人を思い浮かべながら聴いて欲しい1曲です。

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