1990年12月31日に放送された第41回NHK紅白歌合戦は、平成という新しい時代が本格的に動き出した中で行われた大会です。昭和から平成へと元号が変わった前年の高揚感が少し落ち着き、人々は「平成の年末」をどのように過ごすのか、少しずつ自分たちなりの感覚をつかみ始めていました。そんな中でも、大晦日の夜に紅白歌合戦を観ながら一年を振り返るという文化は変わらず続き、第41回は「平成紅白」が日常の風景として定着し始めたことを実感させる回となっています。
目次
第41回紅白歌合戦の概要
第41回NHK紅白歌合戦は1990年12月31日の大晦日に開催され、テレビとラジオの同時放送によって全国に中継されました。40回という節目を越えた紅白歌合戦は、番組としての完成度をさらに高めており、紅組・白組に分かれた出場歌手が順番に登場して、その年を代表する楽曲を披露するという基本構成は引き続き踏襲されています。長時間の生放送でありながら、進行は非常に安定しており、平成2年目の年末にふさわしい落ち着きと華やかさを併せ持った番組となっていました。この回の勝敗は白組の勝利となっており、結果発表も含めて、年末の恒例行事として多くの家庭で親しまれていた様子がうかがえます
第41回紅白歌合戦が開催された1990年の出来事
1990年の日本は、平成という新しい時代の方向性を模索していた時期でした。経済は活況を呈し、人々の生活には余裕が感じられる一方で、価値観やライフスタイルは徐々に多様化していきます。音楽の世界でも、昭和から続く歌謡曲や演歌が安定した人気を保つ一方で、ポップスやバンド音楽が若い世代を中心に強い支持を集め、音楽の主役が世代ごとに分かれていく流れがよりはっきりしてきました。こうした背景の中で放送された紅白歌合戦は、異なる世代の音楽を一つの舞台に集め、年末という特別な時間を共有する役割を担っていました。
第41回紅白歌合戦の出場アーティスト一覧
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第41回NHK紅白歌合戦(1990年) 出場歌手・曲目一覧
※第41回は1990年(平成2年)12月31日に放送されました。
| 紅組歌手 | 紅組曲目 | 白組歌手(優勝) | 白組曲目 |
|---|---|---|---|
| DREAMS COME TRUE(初) | 笑顔の行方 | 光GENJI | CO CO RO |
| 中山 美穂 | 愛してるっていわない! | 吉田 栄作(初) | 心の旅 |
| 荻野目 洋子 | ギャラリー | 少年隊 | FUNKY FLUSHIN' |
| 工藤 静香 | くちびるから媚薬 | チェッカーズ | 夜明けのブレス |
| 内藤 やす子 | KOKU-HAKU vol. I | ガリー・バレンシアーノ(フィリピン)(初) | I Know What You Want |
| 瀬川 瑛子 | 人生晴れたり曇ったり | 新沼 謙治 | 渋谷ものがたり |
| 佐藤 しのぶ | 「ウエストサイド物語」からトゥナイト | 久保田 利伸(初) アリスン・ウィリアムズ(初) | Forever Yours |
| オユンナ(モンゴル)(初) | 天の子守歌 | 尾崎 紀世彦 | また逢う日まで |
| シンディ・ローパー(アメリカ)(初) | I Drove All Night | 長渕 剛(初) | 親知らず、いつかの少年、乾杯 |
| 宮沢 りえ(初) | Game | 忍者(初) | お祭り忍者 |
| ピンク・レディー | ピンク・レディー・メドレー | たま(初) | さよなら人類 |
| B.B.クィーンズ(初) | おどるポンポコリン | 植木 等 | スーダラ伝説 |
| EVE(初) | イマジン | 郷 ひろみ | Wブッキング |
| 青江 三奈 | 恍惚のブルース | 西田 敏行 | もしもピアノが弾けたなら |
| 福士 りつ(初) | 津軽あいや節 | アレクサンドル・グラツキー(ソ連)(初) | ソング |
| 大津 美子 | ここに幸あり | 堀内 孝雄 | 恋唄綴り |
| マルシア(ブラジル)(初) | ふりむけばヨコハマ | 橋 幸夫 | いつでも夢を |
| 加藤 登紀子 | 知床旅情 | チョー・ヨンピル(韓国) | 釜山港へ帰れ |
| 小林 幸子 | 天命(いのち)燃ゆ | さだ まさし | 風に立つライオン |
| 鮫島 有美子(初) | ぼだい樹 | ポール・サイモン(アメリカ)(初) | 明日に架ける橋 |
| 川中 美幸 | ぐい呑み酒 | 吉 幾三 | 酔歌 |
| 松原 のぶえ | 蛍 | 細川 たかし | うかれ節 |
| 伍代 夏子(初) | 忍ぶ雨 | G-クレフ(初) | WE ARE G-CLEF |
| 八代 亜紀 | 花束(ブーケ) | 布施 明 | シクラメンのかほり |
| 坂本 冬美 | 能登はいらんかいね | 鳥羽 一郎 | 演歌船 |
| ケー・ウンスク(韓国) | 真夜中のシャワー | 五木 ひろし | 心 |
| 和田 アキ子 | 抱かれ上手 | 北島 三郎 | 山 |
| 石川 さゆり | うたかた | 谷村 新司 | いい日旅立ち |
| 都 はるみ | 千年の古都 | 森 進一 | おふくろさん |
特別企画・企画コーナー
| 企画名 | 内容・出演 |
|---|---|
| 長渕 剛 ベルリン中継 | 東西統一直後のドイツ・ベルリンから衛星中継で出演。「親知らず」「いつかの少年」「乾杯」の3曲を約15分以上にわたり熱唱しました。 |
| 海外からの特別ゲスト | シンディ・ローパー、ポール・サイモン、ガリー・バレンシアーノ、アレクサンドル・グラツキーらが出演。国際色豊かなステージとなりました。 |
| ピンク・レディー 再結成 | この年限りの再結成として出場し、往年のヒット曲メドレーを披露しました。 |
まとめ
第41回NHK紅白歌合戦は1990年の大晦日に放送され、平成という時代が本格的に動き出した中で行われた、象徴的な大会となりました。社会や音楽の価値観が少しずつ変化する中でも、紅白歌合戦は変わらず一年の締めくくりとして、多くの家庭に寄り添い続けていました。美空ひばりや森進一、五木ひろしをはじめとする時代を代表する歌手たちが集結したこの第41回は、「平成紅白」がこれからの時代においても国民的番組として続いていくことを、自然に予感させる一回と言えるでしょう。