1966年12月31日に放送された第17回NHK紅白歌合戦は、昭和40年代に入り、日本の音楽シーンが大きく広がりを見せていた時代を象徴する回です。高度経済成長の流れの中で、人々の暮らしはさらに豊かになり、テレビは完全に家庭生活の中心に定着していました。大晦日の夜に紅白歌合戦を観ながら一年を締めくくるという習慣は、世代を問わず共有される国民的な風景となり、紅白は「年末といえば欠かせない番組」として揺るぎない存在感を放っていました。
目次
第17回紅白歌合戦の概要
第17回NHK紅白歌合戦は1966年12月31日に開催され、テレビとラジオの同時放送によって全国へ中継されました。番組の基本構成はすでに完成されており、紅組・白組に分かれた歌手たちが、その年を代表する楽曲を順に披露していくスタイルが定着しています。司会進行も安定感があり、長時間の生放送でありながら、視聴者が自然な流れで最後まで楽しめる構成となっていました。この回では白組が勝利を収めており、勝敗の行方も含めて、大晦日の話題として多くの家庭で語られていたことがうかがえます。
第17回紅白歌合戦が開催された1966年の出来事
1966年の日本は、高度経済成長が続く中で、都市化や消費文化がさらに進んでいった時代です。音楽のジャンルも多様化し、歌謡曲だけでなく、ポップスや海外音楽の影響を受けた楽曲が注目されるようになっていました。若い世代を中心に音楽の楽しみ方が広がる一方で、紅白歌合戦は世代を超えて共有できる番組として、家族全員が同じ時間を過ごす貴重な場であり続けていました。1966年という年は、紅白歌合戦が時代の変化を受け止めながらも、国民的行事としての役割を保ち続けていたことを感じさせる時代背景を持っています。
第17回紅白歌合戦の出場アーティスト一覧
第17回紅白歌合戦には、当時の歌謡界を代表する実力派・人気歌手が数多く出演しました。紅組では美空ひばり、島倉千代子、江利チエミ、雪村いづみ、ペギー葉山、奈良光枝など、長年にわたり第一線で活躍してきた女性歌手たちが名を連ね、それぞれが安定した歌唱力と豊かな表現力でステージを彩っています。紅組のパフォーマンスは、紅白歌合戦ならではの華やかさと情感を強く印象づけるものでした。
白組には三橋美智也、春日八郎、フランク永井、藤山一郎、岡本敦郎、ディック・ミネといった昭和歌謡界を支え続けてきた男性歌手が出演し、力強さと哀愁を併せ持つ歌声で番組を盛り上げました。これらの出演者は、その年の音楽シーンを象徴する存在であり、紅白歌合戦が「一年の歌謡界を振り返る場」として機能していたことを改めて感じさせます。
第17回NHK紅白歌合戦(1966年) 出場歌手・曲目一覧
※第17回は1966年(昭和41年)12月31日に放送されました。
| 紅組歌手(優勝) | 紅組曲目 | 白組歌手 | 白組曲目 |
|---|---|---|---|
| 中尾ミエ | ア・テイスト・オブ・ハニー | 西郷輝彦 | 星のフラメンコ |
| 田代美代子 | ここがいいのよ | 島和彦 | 雨の夜あなたは帰る |
| 九重佑三子 | ディディンド・ディンドン | アントニオ古賀 | その名はフジヤマ |
| 笹みどり | 下町育ち | 山田太郎 | 幸福はこだまする |
| 日野てる子 | 道 | ダーク・ダックス | 銀色の道 |
| 倍賞千恵子 | おはなはん | 坂本九 | レッツ・キッス |
| 畠山みどり | どさんこ一代 | 北島三郎 | 函館の女 |
| 岸洋子 | 想い出のソレンツァーラ | 立川澄人 | イエスタディ |
| 青江三奈 | 恍惚のブルース | 城卓矢 | 骨まで愛して |
| 三沢あけみ | サガレン小唄 | 井沢八郎 | さいはての男 |
| 金井克子 | ラバーズ・コンチェルト | ハナ肇とクレージー・キャッツ | チョッと一言多すぎる |
| 島倉千代子 | ほんきかしら | 春日八郎 | 波止場で待ちな |
| 江利チエミ | 私だけのあなた | 橋幸夫 | 霧氷 |
| 園まり | 夢は夜ひらく | 舟木一夫 | 絶唱 |
| 吉永小百合 | 勇気あるもの | 加山雄三 | 君といつまでも |
| ザ・ピーナッツ | ローマの雨 | ジャッキー吉川とブルー・コメッツ | 青い瞳 |
| 越路吹雪 | 夢の中に君がいる | アイ・ジョージ | 夜のストレンジャー |
| 都はるみ | さよなら列車 | 三田明 | 恋人ジュリー |
| 伊東ゆかり | 愛はかぎりなく | デューク・エイセス | 君の故郷は |
| 水前寺清子 | いっぽんどっこの唄 | 村田英雄 | 祝い節 |
| 朝丘雪路 | ふりむいてもくれない | バーブ佐竹 | ネオン川 |
| 梓みちよ | ポカンポカン | マイク真木 | バラが咲いた |
| こまどり姉妹 | 幸せになりたい | 和田弘とマヒナスターズ | 銀座ブルース |
| 西田佐知子 | 信じていたい | フランク永井 | 大阪ろまん |
| 美空ひばり | 悲しい酒 | 三波春夫 | 紀伊国屋文左衛門 |
特別企画・エピソード
| 出来事 | 内容 |
|---|---|
| 加山雄三 初出場 | 「若大将シリーズ」で大人気となった加山雄三が初出場し、大ヒット曲「君といつまでも」を披露しました。 |
| フォーク&GSの台頭 | マイク真木「バラが咲いた」(フォーク)や、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「青い瞳」(GS)が初出場し、新しいジャンルの流行を反映しました。 |
| 美空ひばり「悲しい酒」 | 紅組トリで披露されたこの曲は、涙ながらの歌唱で語り継がれる名演となりました。 |
まとめ
第17回NHK紅白歌合戦は1966年の大晦日に放送され、紅白歌合戦が時代の変化に対応しながらも、国民的番組としての役割を確立し続けていたことを示す回となりました。高度経済成長の中で音楽の多様化が進む一方、紅白歌合戦は世代や価値観を超えて楽しめる存在として、多くの家庭に受け入れられていました。美空ひばりや三橋美智也をはじめとする昭和歌謡のスターたちが集結したこの第17回は、紅白歌合戦の安定期を象徴する一回として、今なお語り継がれています。