2012年12月31日に放送された第63回NHK紅白歌合戦は、2011年の特別な一年を経て、日本社会が少しずつ前を向き始めた中で行われた大会です。人々の中にはまだ不安や迷いが残る一方で、「日常を取り戻す」「明日へ進む」という意識も確かに芽生えていました。そんな空気の中で迎えた大晦日の夜、紅白歌合戦は例年通り放送され、変わらぬ形で年末の時間を支えていました。第63回は、紅白歌合戦が“立ち止まった時代”から“再び歩き出す時代”へと向かう節目に寄り添った回として、静かな意味を持つ大会と言えるでしょう。
目次
第63回紅白歌合戦の概要
第63回NHK紅白歌合戦は2012年12月31日の大晦日に開催され、テレビとラジオの同時放送で全国に中継されました。60回台に入った紅白歌合戦は、国民的番組としての役割をより明確に意識しながら、時代に即した演出や構成を取り入れています。紅組・白組に分かれた出場歌手が順番に登場し、その年を代表する楽曲を披露するという基本スタイルは変わらず、幅広い世代が同じ時間を共有できる番組づくりが続けられていました。この回の勝敗は白組の勝利となっており、結果も含めて、穏やかな年末の空気を感じさせる紅白歌合戦となっています。
第63回紅白歌合戦が開催された2012年の出来事
2012年の日本は、社会全体が少しずつ落ち着きを取り戻し、「これからの日常」をどう築いていくのかを考え始めた年でした。人々は身近な幸せや日々の暮らしの大切さを改めて実感し、価値観にも変化が生まれています。音楽の世界では、J-POPを中心に多様なアーティストが活躍し、楽曲は単なる流行ではなく、個人の感情や日常に寄り添う存在として受け止められていました。一方で、演歌や歌謡曲も人生や人情を描く音楽として、変わらぬ支持を集め続けています。こうした時代背景の中で放送された紅白歌合戦は、一年を静かに振り返り、次の年へと気持ちをつなぐための大切な時間となっていました。
第63回紅白歌合戦の出場アーティスト一覧
第63回紅白歌合戦には、長年にわたり紅白歌合戦を支えてきたベテラン歌手と、2010年代前半の音楽シーンを代表する人気アーティストが幅広く出演しました。紅組では由紀さおりをはじめとする実力派歌手が名を連ね、落ち着いた歌声で番組に温かみと安心感をもたらしています。その存在は、紅白歌合戦が世代を超えて受け継がれてきた理由を、自然と感じさせるものでした。
一方、白組には森進一、五木ひろし、北島三郎などが出演し、それぞれが力強さと深い情感を併せ持つ歌唱で視聴者を魅了しました。北島三郎の圧倒的な存在感は年末の舞台に大きな安心感を与え、森進一や五木ひろしは、時代が変わってもなお紅白歌合戦の軸となる存在として、変わらぬ重みを放っています。出演者の顔ぶれからは、紅白歌合戦が新しい音楽の流れを取り入れながらも、日本の歌の本質を大切に守り続けていることが、はっきりと伝わってきます。
第63回NHK紅白歌合戦(2012年) 出場歌手・曲目一覧
※第63回は2012年(平成24年)12月31日に放送されました。
| 紅組歌手 | 紅組曲目 | 白組歌手(優勝) | 白組曲目 |
|---|---|---|---|
| 浜崎 あゆみ | 2012 A SPECIALメドレー | NYC | NYC紅白メドレー |
| SKE48(初) | パレオはエメラルド | ゴールデンボンバー(初) | 女々しくて |
| 中島 美嘉 | 初恋 | AAA | 777 ~We can sing a song!~ |
| 水樹 奈々 | BRIGHT STREAM | 三代目 J Soul Brothers(初) | 花火 |
| 藤 あや子 | わすれない | FUNKY MONKEY BABYS | サヨナラじゃない |
| 水森 かおり | ひとり長良川 | HY(初) | いちばん近くに |
| 倖田 來未 | Go to the top | ナオト・インティライミ(初) | Brave |
| 香西 かおり | 酒のやど | 細川 たかし | 浪花節だよ人生は |
| 西野 カナ | GO FOR IT!! | ポルノグラフィティ | カゲボウシ |
| 伍代 夏子 | 恋ざんげ | 舘 ひろし | 嵐を呼ぶ男 |
| 絢香 | はじまりのとき | 森 進一 | 冬のリヴィエラ |
| ももいろクローバーZ(初) | ももいろ紅白だZ!! | 関ジャニ∞(初) | 初紅白!! 全力前進ジャジャジャジャーン!!! |
| Perfume | Spring of Life | TOKIO | KIBOU |
| AKB48 | AKB48 紅白2012 SP ~第2章~ | コブクロ | 紙飛行機 |
| aiko | くちびる | 郷 ひろみ | デンジャラー☆ |
| きゃりーぱみゅぱみゅ(初) | 紅白2012きゃりーぱみゅぱみゅメドレー | 五木 ひろし | 夜明けのブルース |
| 由紀 さおり | 夜明けのスキャット | 徳永 英明 | 上を向いて歩こう |
| 天童 よしみ | ソーラン祭り節 | 斉藤 和義(初) | やさしくなりたい |
| YUI(初) | Good-bye days | 氷川 きよし | 櫻 |
| 坂本 冬美 | 夜桜お七 | 嵐 | New Year's Eve Medley 2012 |
| 和田 アキ子 | 愛、とどきますか | 美輪 明宏(初) | ヨイトマケの唄 |
| YUKI(初) | プリズム | EXILE | Rising Sun |
| プリンセス プリンセス(初) | Diamonds | 福山 雅治 | Beautiful life |
| 石川 さゆり | 天城越え | 北島 三郎 | 風雪ながれ旅 |
| いきものがかり | 風が吹いている | SMAP | SMAP 2012' SP |
特別企画・企画コーナー
| 企画名 | 内容 |
|---|---|
| MISIA アフリカから中継 | アフリカ・ナミブ砂漠から「Everything」と「明日へ」を披露しました。 |
まとめ
第63回NHK紅白歌合戦は2012年の大晦日に放送され、日本社会が少しずつ前を向き始めた一年を締めくくる大会となりました。社会や人々の心が静かに変化していく中でも、紅白歌合戦は変わらず年末に人々が集う場所であり続け、音楽を通じて気持ちを共有する時間を提供していました。森進一、五木ひろし、北島三郎をはじめとする時代を代表する歌手たちが集結したこの第63回は、紅白歌合戦が「時代の節目に寄り添い続ける番組」であることを、改めて感じさせる一回と言えるでしょう。