青春時代の思い出の一曲、テレビで見たあの懐かしい笑顔、そして心に残る名曲の数々——。1995年から2021年まで、26年もの長きにわたり日本の音楽シーンとエンターテインメント界を彩り続けたグループV6。「WAになっておどろう」や「愛なんだ」など、世代を超えて愛される名曲を生み出し、常に第一線で活躍し続けた彼らの軌跡は、今もなお多くのファンの記憶に鮮明に残っています。デビューから解散までの歴史、6人のメンバーそれぞれの魅力、そして解散後の現在の活動まで、V6の全てをご紹介します。
V6とは?グループの概要と歴史
結成の背景とデビューの経緯
V6(ブイシックス)は、1995年にジャニーズ事務所(現・STARTO ENTERTAINMENT)によって結成された6人組男性アイドルグループです。グループ名の「V6」は、「ボランティア」と「バレーボール」の「V」、そして6人のメンバーを表す「6」を組み合わせたものです。
結成の背景には、当時フジテレビが主催していた「バレーボールワールドカップ」のイメージキャラクターとして起用されたことがありました。20代前半の坂本昌行、長野博、井ノ原快彦の3人(後の20th Century/トニセン)と、10代の森田剛、三宅健(剛健コンビ)、そして最年少の岡田准一の3人(後のComing Century/カミセン)という、年齢層の異なる6人が一つのグループとして結成されました。
そして1995年11月1日、「MUSIC FOR THE PEOPLE」でCDデビュー。この日は後にV6の記念日として、グループ存続期間中ずっと大切にされました。デビュー当初から高い歌唱力とダンススキルを持ったグループとして注目を集め、清潔感のある爽やかなイメージと、メンバー間の絶妙な年齢差を生かした多様な魅力で、幅広い年齢層のファンを獲得していきました。
これまでの主な活動と実績
V6は26年間の活動期間中、数々のヒット曲を生み出し、音楽活動だけでなく、バラエティ番組やドラマ、映画など多方面で活躍しました。
音楽面では「WAになっておどろう」「愛なんだ」「MUSIC FOR THE PEOPLE」など、時代を超えて愛される名曲を次々と発表。特に「WAになっておどろう」は運動会や体育祭でも使われるほどの人気曲となり、「愛なんだ」は多くの結婚式で使われる定番ソングとなりました。
テレビでの活動も精力的で、「学校へ行こう!」「Gの嵐!」「パンドラの匣」など、メンバーの個性を生かしたバラエティ番組も多数。特に、井ノ原快彦と森田剛が司会を務めた「学校へ行こう!」は社会現象となるほどの人気番組となりました。
また、V6の特徴として、グループ内ユニットの存在があります。年長組の3人による「20th Century(トニセン)」と年少組の3人による「Coming Century(カミセン)」が、それぞれ独自の活動も展開。これにより、V6としての一体感を持ちながらも、様々な表現の幅を広げることに成功しました。
コンサートも毎年盛大に開催され、メンバー全員が企画や演出にも積極的に参加。ファンとの絆を大切にした温かい雰囲気のライブは、多くのファンから支持を受けました。
解散の理由と最終公演
2021年3月、V6は同年11月1日をもって解散することを発表。デビュー26周年の記念すべき日が、グループの最期の日となりました。
解散の直接的なきっかけとなったのは、森田剛がジャニーズ事務所を退所し、俳優として新たな道を歩みたいという意向を示したことでした。しかし、それだけではなく、26年という長い活動の中で、6人それぞれが自分自身の将来について考える時期を迎えていたことも大きな要因だったと言われています。
メンバーが自らの言葉で「グループとしてのV6は解散するが、6人の絆は解散しない」と語ったように、この決断は単なる活動終了ではなく、それぞれの道を歩みながらも心の絆は永遠に続くという意思表明でもありました。
そして2021年11月1日、千葉・幕張メッセで「LIVE TOUR V6 groove」最終公演が開催されました。この日は、ちょうどV6がデビューから26周年を迎える記念日。最後のステージでは、メンバー6人が涙ながらにファンへの感謝を伝え、そして将来への希望を語りながら、26年の歴史に幕を下ろしました。
メンバープロフィール
坂本昌行(さかもと まさゆき)
1971年10月13日生まれの坂本昌行は、V6の最年長メンバーであり、20th Century(トニセン)のリーダーとしてグループを支えてきました。実は彼はジャニーズ事務所に入所後、一度退所してサラリーマン生活を経験した後に再入所するという珍しい経歴の持ち主です。
歌唱力の高さとパフォーマンス力で知られ、特にバラードでの表現力には定評があります。また、趣味の料理では本格的な腕前を持ち、様々な料理番組に出演するほど。音楽活動と並行して、舞台俳優としての活動も精力的に行い、ミュージカルを中心に多くの作品に出演してきました。
性格は真面目で几帳面、グループの中では「お兄さん」的な存在として、メンバーからの信頼も厚い存在です。ファンからは「まっくん」という愛称で親しまれ、長年にわたりV6の顔として活躍してきました。
長野博(ながの ひろし)
1972年10月9日生まれの長野博は、20th Century(トニセン)のメンバーとして、そのさわやかな笑顔と温かい人柄で多くのファンを魅了してきました。
持ち前の明るさとMCの上手さで、グループ内での和やかな雰囲気づくりにも一役買っていた長野。特にバラエティ番組では、自然体で親しみやすいキャラクターが視聴者に好評でした。また、健康的なイメージから、スポーツ関連の番組にも多数出演しています。
俳優活動も積極的に行い、「ごくせん」シリーズなどのドラマや、舞台でも活躍。2016年には一般女性と結婚し、2018年には第一子が誕生するなど、プライベートも充実しています。
井ノ原快彦(いのはら よしひこ)
1976年12月17日生まれの井ノ原快彦は、20th Century(トニセン)の最年少メンバー。その多才ぶりとバランス感覚の良さで、グループ内でも特に幅広い活動を展開してきました。
バラエティでは「学校へ行こう!」の司会を務めるなど、その親しみやすいキャラクターと機転の利いたトークで人気を博しました。一方で俳優としても「特捜9」シリーズなどで主演を務めるなど、演技力も高く評価されています。さらに「あさイチ」のメインMCを2010年から務めるなど、情報番組の顔としても活躍。
明るく社交的な性格で、グループの「つなぎ役」として機能することも多く、V6の中でも特にバランサー的な存在でした。2007年には女優・瀬戸朝香と結婚し、二児の父親として家庭も大切にしています。
森田剛(もりた ごう)
1979年1月20日生まれの森田剛は、Coming Century(カミセン)の一員で、V6の中でも特に芸術性の高いパフォーマンスで知られていました。デビュー当初から「剛健コンビ」として三宅健と共に注目され、その独特の世界観で多くのファンを魅了してきました。
音楽面では、独特の歌声と表現力で楽曲に深みを与え、舞台では「TAKE FIVE」シリーズなどで主演を務めるなど、俳優としても高い評価を受けています。その演技力は映画やドラマでも発揮され、演技派タレントとしての地位を確立しました。
自分の信念を持ちながらも、仲間を大切にする姿勢は、長年のグループ活動を通じて変わることはありませんでした。2019年には女優・宮沢りえとの結婚を発表し、V6解散後はジャニーズ事務所を退所し、俳優として新たな一歩を踏み出しています。
三宅健(みやけ けん)
1979年12月2日生まれの三宅健は、Coming Century(カミセン)の一員で、その端正な顔立ちとクールな雰囲気で多くの女性ファンを魅了してきました。森田剛とともに「剛健コンビ」として、デビュー当初から注目を集めました。
ダンスの技術が高く、特にバレエの要素を取り入れた独自のスタイルは多くのファンから絶賛されています。また、舞台俳優としても高い評価を受け、「滝沢歌舞伎」など数多くの作品に出演。
内向的な性格でありながらも、芯の強さを感じさせる三宅は、グループ内でも「静かなる実力者」として存在感を放っていました。ファッションセンスにも定評があり、私服や髪型が話題になることも多いです。
岡田准一(おかだ じゅんいち)
1980年11月8日生まれの岡田准一は、V6最年少メンバーであり、Coming Century(カミセン)の一員です。デビュー当初は「かわいい末っ子」的な存在でしたが、次第にその類まれな演技力と多彩な才能でグループ内外から高い評価を受けるようになりました。
俳優としては「SP」シリーズや「SP 野望篇」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞するなど、数々の賞を獲得。山田洋次監督作品にも多数出演するなど、実力派俳優として確固たる地位を築いています。
武道にも造詣が深く、合気道では初段を取得しているほか、アクションシーンの撮影でもその身体能力の高さを発揮。真面目で几帳面な性格で、役作りに対しても徹底的にストイックな姿勢を貫いています。
2017年には女優・宮﨑あおいとの結婚を発表し、2019年には第一子が誕生するなど、プライベートも充実しています。
解散後のメンバーの活動状況
坂本昌行の現在の活動
V6解散後も精力的に活動を続ける坂本昌行。20th Century(トニセン)のメンバーとして長野博、井ノ原快彦と共に音楽活動を続けているほか、ソロとしてのコンサートも積極的に開催しています。
舞台俳優としての活動も精力的で、2024年にはミュージカル「ホリデイ・イン」への出演が決定しました。また、料理の腕前を生かした番組出演など、メディア露出も多く、プロデュース力のある芸能人としてさらなる飛躍を見せています。
20代でのサラリーマン経験も、芸能界でのキャリアに大きな影響を与えているようで、様々な視点からエンターテインメントを考える姿勢が、多くのファンの共感を呼んでいます。
長野博の現在の活動
長野博は20th Century(トニセン)としての活動に加え、俳優としても積極的に活動中。舞台「レ・ミゼラブル」への出演など、ミュージカル俳優としての評価も高まっています。
テレビではバラエティ番組やドラマなどにも出演し、その親しみやすい人柄で幅広い年齢層から支持を集めています。特に、家族を大切にする姿勢や健康的なライフスタイルは、多くのファンの共感を呼んでいるようです。
プライベートでは妻と子供との時間を大切にしつつ、ファンのためのイベントやソーシャルメディアでの発信なども積極的に行っており、解散後もファンとの絆を大切にしています。
井ノ原快彦の現在の活動
井ノ原快彦はNHK「あさイチ」のメインMCを継続しながら、ドラマ「特捜9」シリーズの主演など、俳優としても活躍しています。20th Century(トニセン)での音楽活動も行いながら、多方面で活躍する姿は、V6時代からの多才ぶりを引き継いでいます。
テレビ朝日系「家事ヤロウ!!!」などのバラエティ番組では、家庭的な一面を見せる場面も多く、視聴者からの親しみやすさも増しています。メディアでの発信力も高く、社会問題についても自分の意見を述べるなど、芸能人としての影響力を有効に活用しています。
家族との時間も大切にしており、妻の瀬戸朝香や子供たちとの日常についても時折メディアで語っています。
森田剛の現在の活動
V6解散とともにジャニーズ事務所を退所した森田剛は、俳優として新たなスタートを切りました。自身の事務所「株式会社森田剛」を設立し、映画「CUBE 一度入ったら、最後」やドラマ「ゴッドバイ、レーニン!」など、選りすぐりの作品に出演。
役者としての実力を一層磨き、これまで以上に多様な役柄に挑戦しています。舞台での活動も継続しており、その演技力の高さは業界内でも高く評価されています。
宮沢りえとの結婚生活も順調で、ジャニーズ時代とは異なるより自由な表現を追求しながら、着実にキャリアを積み重ねています。自身のSNSなども開設し、ファンとの新たなコミュニケーション方法も模索中です。
三宅健の現在の活動
三宅健は俳優としての活動を中心に、テレビドラマや映画、舞台など様々な分野で活躍しています。特に舞台での評価は高く、ミュージカルや演劇など幅広いジャンルに挑戦しています。
STARTO ENTERTAINMENTに所属しながらも、独自の路線を歩み、メディア露出は控えめながらも、確かな存在感を放っています。クールなイメージはそのままに、ファンとの交流会など、ファンサービスも積極的に行っている様子。
ファッションや美術への造詣も深く、そうした感性を生かした活動にも意欲を見せており、アーティストとしての側面も大切にしています。
岡田准一の現在の活動
V6解散後も俳優として精力的に活動を続ける岡田准一。映画「CUBE 一度入ったら、最後」や「燃えよ剣」などの話題作に主演し、その演技力はますます磨きがかかっています。
また、テレビドラマやCMなどでも活躍し、バラエティ番組への出演も徐々に増加。V6時代の「かわいい末っ子」のイメージから、より大人の魅力を放つ俳優として進化を続けています。
プライベートでは妻の宮﨑あおいと息子との生活を大切にしながらも、仕事への情熱は衰えることなく、これからも日本を代表する俳優として更なる飛躍が期待されています。
代表曲とその魅力
「MUSIC FOR THE PEOPLE」
1995年11月1日にリリースされたV6のデビュー曲「MUSIC FOR THE PEOPLE」は、グループの原点とも言える楽曲です。この日付はV6にとって特別な記念日となり、グループ活動の最終日もこの日に設定されました。
アップテンポでキャッチーなメロディが特徴のこの曲は、当時の若者文化にマッチした爽やかなサウンドで多くのファンを獲得。「音楽は人々のためにある」という曲のメッセージは、V6の活動理念とも重なる部分があり、デビュー曲にふさわしい力強さを持っています。
デビュー当時の6人の初々しいパフォーマンスは、今見ても微笑ましく、長い歴史の始まりを感じさせるものとなっています。解散後も、ファンにとって特別な一曲であり続けています。
「愛なんだ」
1999年にリリースされたバラード「愛なんだ」は、V6の代表曲の一つとして長く愛されています。「それは愛なんだ いつも愛なんだ」という印象的なフレーズと、心に響く歌詞が特徴の楽曲です。
この曲は多くの結婚式でも使用され、純粋な愛の素晴らしさを歌った歌詞は、世代を超えて共感を呼んでいます。6人それぞれの歌声が調和した美しいハーモニーも聴きどころで、V6の歌唱力の高さを実感できる一曲と言えるでしょう。
ライブでの盛り上がりも特筆すべきポイントで、特にラストのサビでは会場全体が一体となって歌う場面も。グループの歴史と共に進化を続けた楽曲であり、ファンにとっては特別な思い出が詰まった曲になっています。
「WAになっておどろう」
1996年にリリースされた「WAになっておどろう」は、V6の代表曲として誰もが一度は耳にしたことがある楽曲です。ユーロビート調のダンスナンバーでありながら、日本の和を意識した歌詞が特徴で、その独創性は当時から高く評価されていました。
学校の運動会や体育祭などでもよく使用され、世代を超えて踊り継がれてきた曲としても有名。振付も簡単で覚えやすく、老若男女問わず一緒に楽しめる工夫がされています。
「みんなで一緒に輪になって踊ろう」というメッセージは、V6が大切にしてきた「人と人とのつながり」という理念にも通じるものがあり、グループの象徴的な曲と言えるでしょう。解散後も、彼らの音楽の原点として、多くのファンに愛され続けています。
まとめ
26年という長きにわたって活動を続けてきたV6。その足跡は日本の音楽史に確かな足跡を残し、多くのファンの心の中に大切な思い出として生き続けています。
彼らが大切にしてきた「人と人とのつながり」「ファンとの絆」「チームワークの大切さ」といった価値観は、解散後も各メンバーの活動に引き継がれています。20th Century(トニセン)としての活動が続いていることも、V6の精神が生き続けている証と言えるでしょう。
また、解散後もメンバー同士の交流は続いており、森田剛と岡田准一が同じ映画「CUBE」に出演するなど、それぞれの活動の中でV6としての絆を感じさせる場面も少なくありません。この6人の絆こそが、26年間の活動を支えた最大の力だったのかもしれません。
ファンにとっては、V6という一つのグループは終わっても、6人それぞれの新たな挑戦を応援し続けることで、その絆は永遠に続いていくことでしょう。そして、彼らが残した数々の名曲と思い出は、これからも多くの人々の心を温め続けるはずです。
V6としての活動は終わりましたが、6人の旅路はこれからも続きます。これからもそれぞれの道で輝き続ける彼らの姿を、温かく見守っていきたいものです。
感想はこちらから