京都の夏。太陽が照りつける中、宇治川の河川敷に集まる数万人の熱気。「京都大作戦」の舞台に颯爽と現れる3人組バンド、10-FEET(テンフィート)。力強いベースライン、激しくも繊細なドラムビート、そして心に突き刺さるボーカルの歌声が観客を一気に引き込む。彼らの音楽は、メロディアスでありながらも、どこか胸を打つ言葉と熱いパフォーマンスで多くのファンを魅了し続けている。
この記事では、日本の音楽シーンで独自の地位を築いている10-FEETのメンバーたちを紹介し、彼らが創り出す音楽の魅力に迫っていく。
10-FEETとは
バンドの結成と由来
10-FEETは1996年、京都の地で結成されたロックバンドだ。公式には1997年とされることもあるが、実際には1996年から活動をスタートさせている。結成当初から現在まで、メンバーチェンジなく同じ3人で活動を続けている息の長いバンドである。
地元・京都を拠点に活動を始めた彼らは、インディーズ時代を経て、2001年にメジャーデビュー。以降、精力的な音楽活動を展開し、日本の音楽シーンに独自の足跡を残している。
音楽スタイルと影響を受けたジャンル
10-FEETの音楽はメロディックパンク(メロコア)を基調としながらも、ロック、ハードコア、メタル、レゲエ、ヒップホップなど、多様なジャンルの要素を取り入れた独自のサウンドを確立している。特に、激しいサウンドとキャッチーなメロディの融合は彼らの音楽の大きな特徴だ。
ボーカル・ギターのTAKUMAがインタビューで語るように、彼らはメタリカやBOØWYといったバンドから大きな影響を受けている。その影響は彼らの音楽性の中に巧みに融合され、唯一無二のサウンドとして表現されている。
メンバー紹介
TAKUMA(タクマ) – ボーカル・ギター
バンドのフロントマンであるTAKUMA(本名:三田村卓真)は、1975年8月14日生まれ、京都府京都市出身。10-FEETの顔として、ボーカルとギターを担当するとともに、多くの楽曲の作詞作曲も手がけている。
その歌声は力強さと繊細さを兼ね備え、時に激しく、時に優しく聴く者の心に訴えかける。ギタリストとしても高い技術を持ち、バンドサウンドの要として重要な役割を果たしている。
性格はポジティブで前向き。そのエネルギッシュな姿勢はライブパフォーマンスにも表れており、観客を一気に引き込む圧倒的な存在感を放っている。また、MCでは軽妙なトークでファンを楽しませる一面も持ち合わせている。
NAOKI(ナオキ) – ベース・ボーカル
NAOKIはベースとボーカルを担当。10-FEETのリズムセクションの要として、力強いベースラインを生み出している。TAKUMAとの掛け合いや、単独でのボーカルも担当することがあり、バンドのサウンドに厚みを加えている。
ベーシストとしての確かな技術とグルーヴ感は、10-FEETの楽曲の土台を支える重要な要素となっている。ライブでは、時に激しく、時に繊細なプレイで観客を魅了する。
KOUICHI(コウイチ) – ドラムス・コーラス
KOUICHIはドラムとコーラスを担当。興味深いことに、バンド結成当初は保育士を目指していたが、TAKUMAに説得されてバンドに参加したという経緯がある。その選択は日本の音楽シーンにとって幸運なものだったと言えるだろう。
その正確かつダイナミックなドラミングは10-FEETの楽曲に躍動感を与え、バンドの音楽性を支える大きな要素となっている。また、コーラスでもバンドのサウンドに欠かせない役割を果たしている。
バンド名の由来
10-FEETという名前に込められた意味
「10-FEET」というバンド名には、深い意味が込められている。この名前は「届きそうで届かない距離」という意味を持ち、バスケットボールのゴールの高さである約3メートル(10フィート)に由来している。
この名前には、常に高い目標に向かって挑戦し続けるという彼らの姿勢が表れている。到達できそうで、完全には届かない。だからこそ、常に向上心を持って音楽に向き合い続けるという彼らの哲学が、バンド名に込められているのだ。
バンドの歴史と活動
結成から現在までの歩み
10-FEETは1996年に京都で結成され、地元を中心にライブ活動を開始。インディーズ時代を経て、2001年にメジャーデビューを果たした。
デビュー以降も精力的に活動を続け、2007年からは地元京都で「京都大作戦」という野外フェスティバルを主催。このフェスは年々規模を拡大し、2022年には15周年を迎えるまでになった。
彼らの歩みは、地方発のバンドがメジャーシーンで確固たる地位を築くという、一つの成功モデルとしても評価されている。常に自分たちの音楽性を大切にしながらも、より多くのリスナーに届けるための努力を続けてきた結果と言えるだろう。
主要なリリース作品とその評価
10-FEETの代表曲として広く知られているのが「RIVER」や「第ゼロ感」などだ。特に「RIVER」は2002年にリリースされて以来、ロングセラーとなり、彼らの代名詞的な楽曲となっている。
彼らのアルバムは、ハードコアな楽曲からメロディアスな楽曲まで幅広いスタイルを収録しており、多様な音楽性が高く評価されている。また、楽曲に込められたメッセージ性の強い歌詞も、多くのリスナーの共感を呼んでいる。
ライブ活動とファンからの支持
10-FEETは年間100本以上のライブを行うこともあるほど、ライブ活動に力を入れているバンドだ。彼らのライブパフォーマンスは非常に高く評価されており、激しくも温かいステージングでファンを魅了し続けている。
また、ライブ中のMCでは、メンバーのユーモアたっぷりのトークも人気の一つ。真摯に音楽と向き合いながらも、時に茶目っ気を見せる姿勢が、多くのファンに親しまれている理由だろう。
こうした精力的なライブ活動と、ファンとの距離の近さが、長年にわたる強い支持につながっているのだ。
京都大作戦
フェスティバルの概要と歴史
「京都大作戦」は、10-FEETが2007年から主催している野外音楽フェスティバル。京都府宇治市の太陽が丘特設ステージを主な会場として開催されている。
2017年には10周年を迎え、規模も内容も年々充実。日本全国から多くの音楽ファンが集まる、夏の風物詩とも言えるイベントに成長した。多様なジャンルのアーティストが出演し、音楽の垣根を超えた交流の場となっている。
10-FEETの主催としての役割
このフェスティバルを通じて、10-FEETは単にパフォーマーとしてだけでなく、音楽文化の発信者としての役割も担っている。特に地元・京都の音楽シーンを盛り上げるという使命感を持って取り組んでおり、地域に根差した文化イベントとして定着させた功績は大きい。
彼らは、このフェスを通じて、自分たちが影響を受けたバンドや、自分たちが応援したいバンドを紹介する場としても活用。音楽の循環を生み出すという点でも、重要な役割を果たしている。
おすすめ楽曲紹介
RIVER
2002年にリリースされた楽曲で、10-FEETの代表曲の一つ。メロディアスなサウンドと力強いボーカル、印象的なギターリフが特徴的だ。メロコアの王道とも言える楽曲で、多くのリスナーに愛され続けている。
ライブでは定番中の定番であり、会場全体が一体となって盛り上がる瞬間を作り出す名曲。初めて10-FEETを聴くという人には、最初にチェックしてほしい楽曲だ。
1sec.
爽快なギターサウンドと疾走感のあるリズム、TAKUMAの伸びやかなボーカルが印象的な楽曲。「一秒」という限られた時間の中にも、多くの可能性があるという前向きなメッセージが込められている。
ライブでの演奏も非常に評価が高く、観客とバンドが一体となって作り上げる空間は圧巻だ。
ハローフィクサー
メロディアスながらも、どこか切なさを感じさせるこの楽曲は、TAKUMAの歌唱力が存分に発揮されている一曲。心に響く歌詞と、徐々に盛り上がっていく楽曲構成が特徴的だ。
初めは穏やかに始まるが、中盤から後半にかけて感情が爆発するような展開は、聴く者の心を揺さぶる。
第ゼロ感
バンドの代表曲の一つで、激しいサウンドとキャッチーなメロディが融合した楽曲。メロコアの特徴を遺憾なく発揮しつつも、10-FEET独自の個性が強く表れた一曲だ。
ライブでは、観客のモッシュや合唱を誘発する人気楽曲。その爆発的なエネルギーは、彼らの音楽の魅力を凝縮したものと言えるだろう。
まとめ
10-FEETの最大の魅力は、ジャンルの枠に捉われない自由な音楽性と、心に響くメッセージ性の強い歌詞、そして圧倒的なライブパフォーマンスにある。彼らの音楽は、激しさと繊細さ、強さと優しさ、そういった相反する要素が絶妙なバランスで融合している。
結成から20年以上経った今も、進化し続ける彼らの音楽は、新たなファン層も獲得しながら、その影響力を拡大し続けている。「届きそうで届かない距離」という彼らのバンド名通り、常に高い目標に向かって挑戦し続ける姿勢が、長年にわたる活動を支えているのだろう。
今後も、彼らならではの独自の音楽性と情熱的なライブパフォーマンスで、多くのリスナーに感動と勇気を与え続けることだろう。10-FEETの今後の活動から目が離せない。
最新情報は公式SNSや公式サイトでチェックすることができるので、まだ彼らの音楽に触れたことがない人は、ぜひ一度その魅力に触れてみてほしい。きっと、あなたの音楽的世界を広げてくれるはずだ。
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